地名の由来を縄文語(アイヌ語)で考える「平潟(北茨城市)」B・・・崖を意味する「平」
2009-04-10


まずは、「平潟(ひらかた)」の「(平)ひら」が、平らではなく、「崖」を意味する理由について、方言、古典、地方の地名を取り上げています。

【方言】
鹿児島県では、崖を「ヒラ」と呼ぶ。(『方言辞典』より)
東北地方北部、伊豆諸島、上越地方、九州東南部では、急斜面をヒラと言う。
沖縄では、坂のことをヒラと呼ぶ。

【古典】
「黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)」(『古事記』)
「泉津平坂(ヨモツヒラサカ)」(『書紀』)
いずれも、イザナギ神話に出てくる、この世とあの世の境のことで、平らな坂であるはずはなく、奈落の底へさか落としになるような断崖、あるいは急坂を考えられていたに違いない。

【地名】
・北海道門別町の「平賀(ヒラカ、アイヌ語でpira-ka ピらカ[崖の上])」そこについて、松浦武四郎の『戊午(ボゴ)日誌』に出てくる「平山(ヒラヤマ)」「平崩(ヒラクズレ)」、『東蝦夷(ヒガシエゾ)日誌』の記述にある「平」は、崖ということでなければ意味がとれない。

・ひたちなか市の平磯(旧平磯村)
『角川地名茨城』では、「三方を丘陵に囲まれ海に面した東側一帯の平地」の事を平磯としているが、平地ではなく、その丘陵の崖がヒラで、その下の岩場が平磯ではないかと推論。

・北海道古平町(フルビラ、hur-pira ふル[丘]-ピら[がけ。土が崩れて地肌のあらわれている崖。])
痛ましいトンネル災害があった所で、アイヌの人たちがつけたこの地名が、崩落の危険があったことを予知していた。

・全国各地の平川・平沢・平谷・平井・比良山など
平が崖を指していると思われる地名がある。


これらは、崖を意味する言葉として、ヒラ(ピラ)が日本全国で使われており、それが各地の地名となってあらわれ、地名に漢字を当てる際に、「平」という字が多く用いられた、ということなのでしょう。
[日本語]
[縄文語/弥生語]
[アイヌ語]

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