『縄文人と「弥生人」古人骨の事件簿』C・・・新方遺跡の人骨
2009-04-21


近畿地方、神戸市にある新方遺跡の弥生時代初期の人骨について、詳しく説明があるので、簡単にまとめたいと思います。

まず、前回、「縄文人と考えられる顔立ちの成人男性二体」と書きましたが、厳密には三体です。
第一号人骨から、第三号人骨と呼び、それぞれの特徴を簡単にまとめます。

【第一号人骨】
1.全身を伸ばした伸展位の姿勢
2.理由がわからない、うつ伏せの格好
3.成人男性
4.死亡年齢は、30〜40歳くらい
5.身長は、155〜160センチ
6.骨太で腕、脚の筋肉がたくましく発達していた模様
7.頭蓋骨は大きく頑丈、相当な大頭
8.下顎骨も大柄で頑丈、左右に幅広い
9.下顎角はがっしりとして、ひどくエラが張った角ばった顔
10.オトガイと呼ばれる顎の先の膨らみが顕著
11.上下左右の犬歯と、右下の第二大臼歯は、風習抜歯と見られる
12.上下の歯が毛抜き状に噛み合う鉗子状咬合
13.サヌカイト製の石鏃が腹部に刺さっていた模様

以上、縄文人的な特徴を多く見ることができる。
(特に、8〜10の下顎骨に関する部分)

【第二号人骨】
1.骨の腐食、分解が進みほとんどの骨が消え行く直前の状態
2.うつ伏せの伸展姿勢と見られる埋葬姿勢
3.歯だけが唯一の観察材料
4.上下左右の犬歯が抜歯されていた可能性が高い
5.性別の判定は不可能
6.死亡年齢は、30〜60歳(歯の咀嚼による磨り減りの程度から判定)
7.胸部の骨格のあたりから、サヌカイト製の石鏃が発見

以上、観察材料が少ないが、風習抜歯の様子から、縄文人的な特徴も見られる。

【第三号人骨】
1.仰向けの伸展位の姿勢で埋葬
2.骨に厚みがあり、頑丈な脳頭蓋
3.下顎角の前にあるべき”へこみ”(角前切痕)が無い
4.下顎骨は非常に頑丈な造り
5.下顎骨の第一大臼歯と第二小臼歯に過度の咬耗
6.下肢骨に縄文人的な多くの特徴
7.男性の可能性が高い
8.死亡年齢は、30歳〜60歳
9.身長は、160センチ前後
10.胴部を中心に17個もの石鏃が発見

以上、縄文人的な特徴を多く見ることができる。
(特に、3〜6に関する部分)

これら三体の人骨の特徴や、状況から一体なにが分かるのでしょうか。
長くなってきたので、また次回に・・・。
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